今さら聞けない?「kW」と「kWh」の違い

子供が勉強している
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kW(キロワット)」と「kWh(キロワットアワー)」。

太陽光発電の販売をしている人でも、ごちゃまぜにして使っているのを、ときどき見かけます。
あなたも、モヤモヤしてませんか?

ちなみに「k」と「h」は小文字。「W」は大文字で書くのが正しいです。

今回は、この「kW」と「kWh」という言葉(単位)について説明してみます。

たとえば、

「今、4kW発電しています。」
「年間で4,000kWh発電する見込みです。」

という使い方をします。

どちらも発電することを言っていますが、片方は「kW」、もう片方は「kWh」。
この2つの単位は、何を意味しているのでしょう?
どんな関係にあるのでしょう?

|kWは「出力」で、kWhは「発電量」。

ひとことで言ってしまえば・・・
kWは「出力」を表します。
kWhは「発電量」を表します。

しかし、これではさっぱりわかりませんよね。
電気は目に見えません。
そのため、なにかにつけ、わかりづらいです
そこで、よく似たわかりやすいものを例にして考えてみましょう。

|ステップ1:水で考えてみる。

子供がコップに水をくもうと思って、水道の蛇口をひねりました。
蛇口を左に回すと、水が出る勢いは強くなっていきます。
右に回すと、水の勢いは弱くなっていきます。

子供がおもしろがって、左に回したり、右に回したりし始めました。
水の勢いは強くなったり、弱くなったり。
そのうちにコップに水がいっぱいになったので、子供は蛇口を閉めました。
水は出てこなくなりました。

これを太陽光発電におき換えてみます。
水を電気だと思ってください。
蛇口から出てくる水の勢いは、発電する勢いにあたり、それが「発電出力:kW」です。
そして、コップに入った水の量が、発電した量にあたり、それが「発電量:kWh」です。

どうでしょう。
イメージはつかんでいただけたでしょうか。

それでは、次のステップでは数字を使って考えてみましょう。
それには、車を例にして考えるとわかりやすいです。
水のイメージを頭においたまま読んでくださいね。

|ステップ2:車で考えてみる。

①スピードメーターの数字の意味

車を運転しながら、ときどきスピードメーターを確認しますよね。(してくださいね。)
車のスピードは「km/h(時速〇キロメートル)」で表されます。

さて、あなたが運転をしているとき、ふとスピードメーターを見ると、時速40km(40km/h)出ていました。
だからといって、メーターを見たその瞬間、ビューンと40km先まで進むわけではないですよね。
メーターを見ていた時間が1秒間だとすると、その間に進んだ距離は、せいぜい10m程度です。

時速40kmという数字は、1時間そのスピードで走り続ければ40kmの距離を進むという意味です。
言ってみれば、車の進む勢いですね。
蛇口から出てくる水の勢いのイメージです。
実際に進んだ距離を表しているわけではありません。

②スピードメーターと進んだ距離の関係

車のスピードは、常に変わっていますよね。
前の車に近づけばスピードを落としますし、前に車がいなければスピードを上げます。(もちろん制限速度までです。)
信号が赤であれば、止まります。

あるときは時速40km。
次の瞬間には時速38km。
信号で止まれば時速0km。
別の瞬間には時速47km。
目的地について止まれば時速0km。

そうやって、つねにスピードが変わりながら、「家から目的地まで38kmの距離を走った」とか、「今日一日で72kmの距離を走った」というような話になるわけです。

水の例でいえば、蛇口から出てくる水の勢いが強まったり弱まったりしながら、コップに水がたまっていきます。
そのたまった水の量が、車の例でいえば走った距離に当たります。

|太陽光発電のkWとkWhの関係

それでは、いよいよ太陽光発電です。

太陽光発電の「出力:kW」は、車で言えばスピードメーターに当たります。
車のスピードが一瞬一瞬で変わるように、太陽光発電の出力も一瞬一瞬変わります。
あるときは4kW。雲が出てくれば2kW。日が暮れれば0kW。

そうやって、つねに出力が変わりながら、発電した電気が流れていきます。
そして、どれだけの量の電気が流れていったか、つまり、どれだけの量を発電したかを表すのが、「発電量:kWh」です。
車で言えば、走った距離に当たります。

「今日の朝から昼までで、5kWhの量を発電した」
「9時から10時までで、1kWh発電した」
「今年の一年間で、4,200kWh発電した」

というような使い方をします。

ここで、発電量を言うときには、必ず期間が設定されていることに気づきましたか?
上の例でいえば、

「今日の朝から昼まで」
「9時から10時まで」
「今年の一年間で」

の部分です。

水がたまった量についても、

「1分間でたまった量」
「5分間でたまった量」
「蛇口を開けてから閉めるまでにたまった量」

と期間を設定しないと、量を測れませんよね。

発電量を測るときには、必ず「いつからいつまでで」という期間が定められているということを覚えておいてください。

|まとめ

水でいえば・・・
蛇口から出てくる水の勢いが強まったり弱まったりしながら、ある期間で、ある量の水が出てきます。

車でいえば・・・
スピード(km/h)が速くなったり遅くなったりしながら、ある期間で、ある距離(km)を走ります。

太陽光発電でいえば・・・
出力(kW)が大きくなったり小さくなったりしながら、ある期間で、ある量(kWh)を発電するというわけです。

この記事のはじめに出てきた、

「今、4kW発電しています。」

というのは出力のことを言っており、発電する勢いのことを言っていたわけです。
(補足:正確には、「kW」は瞬間に発電する量を表しています。たとえば「4kW」とは、そのまま1時間発電し続けると4kWh発電するような勢いで発電しているときの、瞬間発電量のことです。)

また、

「年間で4,000kWh発電する見込みです。」

というのは発電量のことを言っており、一年間という期間で発電する量のことを言っていたわけです。

いかがでしょう。
モヤモヤは解消されましたでしょうか?

【補足】「〇kWのシステム」について

太陽光発電の提案を受けると、
「お客様のお宅には、5kWのシステムがのります。」
というような説明をされます。

太陽光発電を設置している人どうしの会話でも、
「お宅は何kW?」
「うちは5kWだよ。」
というような話が出てきます。

この場合の「5kW」というのは、「公称最大出力」と呼ばれます。
単純に言えば、「最大で5kWの出力まで出ます」ということです。
何kWのシステムが設置できるかについては、屋根の大きさによって決まってきます。
屋根が大きいほど、パネルがたくさん設置できますので、最大出力は大きくなります。

ただし、「最大で」ということですので、当然、くもっていたりすれば、そこまで勢いよくは発電しません。
実際に発電しているときには、パネルの温度上昇による発電ロスや、パワーコンディショナで直流を交流に変換するときのロスが発生します。
したがって、春や夏のすごく天気の良い日であっても、公称最大出力の8割ぐらいの出力までが精いっぱいになります。

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